●デビューまで
パリ生まれ。フランスで有数のジャズ・レコード・コレクターの父親の影響で自然とジャズに囲まれながら育つ。幼少時は父の転勤に伴い世界中を回っており、ラテン音楽やボサノヴァの魅力に親しんだのは、4歳のころに過ごしていたメキシコでのこと。その後、アメリカ、ギリシャ、スペイン、イタリア、ポルトガル、イギリスでの生活を送りながら、様々な文化に接して育った。
10歳のとき、パリの16区にあるアールデコ建築のアパルトマンに戻る。このアパルトマンには、壁を覆い尽くすほどのジャズ・レコードのコレクション、グランド・ピアノのある広いリビング、レッスン・ルームなどがある。海外からのアーティストが集まるサロンにもなっていたパリの自宅で、本物の音楽に接しながらクラシック・ピアノを習っていた彼女は、12歳のとき、パリのジャズ・スクールであるシム(CIM)で、ミシェル・サルダビー( *)とパトリス・ギャラス(*)からジャズ・ピアノの教えを受けた。
そして1987年、大物アーティストとの初めての共演をすることとなる。大好きなジャズ・ミュージシャン、ベン・シドラン(*)とジョニー・グリフィン(*)がバルセロナでレコーディングしていることを聞き、1本のデモ・テープを持って駆けつけたのだ。そのテープに入っていたのは、1960年にジョニー・グリフィンが作曲した「コンティノン・ブルー」をフランス語で歌った1曲だけ。このテープを聴いたグリフィンは大感激し、翌日からクレモンティーヌと一緒に、たった2日間で5曲をレコーディングしてしまったのだ。アーティスト、クレモンティーヌの誕生である。
*ミシェル・サルダビー(Michel Sardaby):パリを中心に活躍した黒人ジャズ・ピアニスト。
謎が謎を呼ぶピアニストと形容されることが多い。
*パトリス・ギャラス(Patrice Galas):パリ出身のジャズ・ピアニスト&オルガン奏者。チェット・ベイカーやスタン・ゲッツ、マーカス・ミラーなど、数々の大物ジャズ・アーティストと共演。
*ベン・シドラン(Ben Sidran):アメリカのジャズ・ピアニスト。2004年のクレモンティーヌのブルーノート公演ではゲスト出演。
*ジョニー・グリフィン(Johnny Griffin):アメリカのサックス奏者。
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